英語の発音
英語の発音にはいくつかの種類がありますが,大きくイギリス発音とアメリカ発音の2つに分けられます。イギリスの発音はRP(Received Pronunciation:RP)と呼ばれ,ロンドン周辺の教養ある人々の標準的な発音とされBBC発音とも言われています。一方,アメリカ発音はさらにGeneral American: GA, Eastern American: EA, Southern American: SAの3つに分けられ,そのなかでもアメリカの最も広い範囲で話されるGeneral American:GAは現在私たちが耳にする機会が最も多い英語で,最も標準的なアメリカ発音です。次にアメリカの東海岸で話されるEAですが,その大きな特徴は"R"の音 (Retroflex Vowels:反転母音) がないことがあげられます。例えば"theater" は「シアタ〜」ではなく「シアタァ」というように発音されます(〜はr音を表す)。この他にもGAと異なる発音はいくつかありますが,一般の人にはっきり聞き取れる違いはこの"R音"が代表的なものでしょう。
カナダ,オーストラリアの英語は,系統から言えばイギリスに近いと考えられています。特にカナダの英語発音について は「アメリカ人からはイギリス風に聞こえ,イギリス人からはアメリカの英語に聞こえる」 と言われることがあります。例えば"program" を "programme" とするスペリングなどからも,カナダの英語はイギリスよりであると推測できますが,地理的にアメリカに近いこともあり,アメリカ英語の影響も少なくないでしょう。
次にオーストラリア(ニュージーランドを含む)の英語には,発音の違いだけでなく,表現においてもアメリカ英語とは異なっているものがあります。発音の違いとしては/ei/の音を/ai/と発音することはよく知られています。これはイギリスのコックニー英語にはみられますが,米語には見られない特徴です。次に表現の違いとしては例えばオーストラリアの人々が日常の挨拶でよく言う 「"Good day mate!" グッダイマイト」 などがあげられます。このような表現はアメリカ英語にはみられません。
英語の学習モデルを決める際には「ごちゃまぜ」にならないようにすることが重要です。イギリス英語を学習モデルとして選択したなら,テキスト,音声教材など全て統一したほうがよいでしょう。ある程度の段階まできたら,他の英語について学ぶことは問題ありません。もちろん自分のモデルとする英語以外に目を向けるなというのではありません。他人の会話内容を理解するためには様々な表現・発音等を知っている必要がありますが,自分の話す英語を,あるひとつのスタイルで学習することが望ましいでしょう。
英語発音の実際
ここでは英語発音の実際について考えてみたいと思います。私の学習モデルはGAなので,GAに沿った発音解説をしていくことをお断りしておきます。
ところで,英語はどのようにしたらそれらしく聞こえるのでしょうか? あるフレーズを,なにも考えずに,ネイティブ・スピーカーの音だけをたよりに真似してみると,なんとなくそれらしく聞こえます。しかし,現実的に全ての単語やフレーズの発音のお手本を聞かせてもらうわけにはいきません。そうすると,われわれが発音を向上させる手段は,教材の付録CDやテレビ,ラジオなどを利用するのが中心になってきます。このテレビ・ラジオでのネイティブ・スピーカーの発音を一生懸命真似してみるのことは,発音を向上させる良い方法の一つです。
私はある時,英語を習い始めのころからよく知っていたある単語,例えば"animal" や "before"などの単語の発音が,ネイティブ・スピーカーの発音とはっきり違っていることに気がつきました。まず,最初に誰もが知っている単語 "animal" について考えてみましょう。これは言うまでもなく「動物」を意味する単語で,日本語でも場合によっては 「アニマル」 とカタカナで表記されることもあります。これの正しい発音は一体どのようなものでしょうか?このようなよく知られている単語ほど,その発音は軽視されていることが多く,本当の発音の仕方を知らない人が多いのです。私は実際英会話教室等でこれを英語らしく発音しようとしている人をたくさん目にします。これを文章で正確に表現するのは難しいのですが,あえてカタカナで表現すると 「エアーニマル」 というように聞こえるのです。われわれは,この単語について「"animal"=アニマル」 という固定観念を持っているので,いちいち辞書を調べることもなく,「アニマル」 というカタカナ語を,勘に頼って,発音・アクセントを英語風(英語風と思い込んで)にしているに過ぎないのです。 ここでこの"animal"の発音記号に注目して下さい。なお,発音記号には日本でよく使われているJones式と一部の英和辞典および英英辞典で主に使われている国際音声記号(International Phonetic Alphabet : IPA) とがありますが,ここではその2つを併記します。
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単語 |
発音記号 (Jones式) |
発音記号 (IPA) |
発音 |
| animal |
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エァナム(マ)ウ |
| phonetic |
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ファネディック |
"animal" についてはどちらの表記も同様ですが "phonetic" は互いにやや異なる記号が使われています。どちらの表記を用いる辞書を使っても学習には差し支えないと思いますが,ここに見る の音に注意してほしいのです。これはe が逆さまになっているので,これを見て「エ」 と発音する人が非常に多いようです。またこの は表に示す通り,"i"の上や"o"の上に現れることが多く,そのスペリングからローマ字を読むように「イ」や「オ」と発音してしまう人も多いようです。
しかし,実際にはこの の音は「エ」ではなく,むしろ「ア」の音に近いといえます。上記の「発音の方法」を見ていただけばわかると思いますが,"animal" は「アニマル」ではなく「エナムル」で,しかも"L"の音は舌を上歯茎の裏に触れて発音することから「ウ」のように響き,結果として「エァナムウ」 となります。もちろん"phonetic"についても同様で,その上アメリカ英語では"t"の音を"d"のように発音するので,その発音は 「ファネディック」となります。このように の音だけに注意を払って発音するだけで,随分発音がよくなったように聞こえるものなのです。ぜひ他の単語についても試してみて下さい。次に他にもなじみのある単語でこの の音を含む単語をいくつか挙げておきます。
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